あのひとの俤(おもかげ)浮かべ
我ひとり偲(しの)ぶ路傍の
したたるは音無き雨よ
しだれるは柳の小枝
暮れる町雲は流れる
あのひとの声さえ浮かべ
我ひとり偲ぶ小川の
しくしくと波打つみなも
しくしくと濡(ぬ)れる木の葉よ
暮れる町霧雨積もるよ
あの頃はどしゃ降りのなか
手をともに駆ける町並み
しろたえのシャツを濡らして
しろたえの肌を抱き寄せ
暮れる町はしゃぐ恋人
あのひとのドアに手を掛け
ふたりとも逃れる部屋で
しろたえのシャツを脱がして
しろたえの肌を抱き寄せ
暗がりのお湯にひたるよ
あのひとの温もり遠く
我ひとり偲ぶ夕暮れ
しんとしたこころ冷たく
しんとした部屋は暗くて
灯(ひ)をともすことも忘れて
哀しみに募る想いよ
あなた恋しと
霧雨のしたたる夕べに待つ恋は
寂しさだけを包み込むよう
霧雨もあがる夜風に吹かれつつ
思いで色した星はまたたく
2008/8/9