いく時間かが過ぎたなら

[Topへ] [frameTopへ]

いく時間かが過ぎたなら
(2冊のノート「生きること」より)

いく時間かが過ぎたなら
目覚まし響くことでしょう
芳草の大気を吸込んで
ほら遅れまい道を急ぐ

いく時間かが過ぎたなら
ご飯をいただくことでしょう
空は眩しい扉を放ち
ほら遅れまい道を急ぐ

こうして切磋琢磨して
思いも寄らぬ技巧を真似て
きれいな単語を並べてきっと
つむぎ車に乗せまして
懸命にぐるぐる回しましょう
心の中には想いがくすぶる
手作業の文芸品とは無関係に
凍えて悲鳴をあげている

気が付けば不愉快で
小さな車輪をはたと止め
寂しい大空眺めます
周りに並ぶつむぎ車
言葉の修飾シャカシャカと
立派に仕立てて見せましょう
見詰める人だけ爪弾き
心の通わぬつむぎ言葉

それでもなお繰り返し
車輪をまわして懸命に
シャカシャカ音を立てまして
いったい何を作りましょう
立派な修飾すてきな対比
優れた比喩に夢見る倒置
たった一つ足りないものは
それは寂しく震えるこころ

ねえ教えてください
本当の気持ちはどこにある
それでは教えてください
本当の気持ちは落書きの中
糸も通さず機織(はたお)るまえに
唯一込められているものなら
本当の唄はこう書いてある

「もう何時間過ぎれば
いつもどおりの目覚まし
いつもの朝をくぐり抜け
また遅れそう道を急ぐ

気が付けば不愉快
誰もが同じ訳ではない
見詰める人は爪弾き
同じ流れに解け込めない

それでもなお繰り返し
やりたい事はありますか
いつか自分で流れを
作り出す事を夢見て」

この落書きを紡ぎまして
こんなに沢山の飾りを付けて
原形質の言葉の羅列を
隠し織りしようとしたのですが
車がまわるたびに言葉が増えて
僕の思いはますます消えていくのです

2007/3/20

[上層へ] [Topへ]